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じゃのめきりさめかえるのめ

少し前から心になんとなくあった話?をなにを思ったのかssにしてみました。
文書くのなんてはじめてだけど、ちょっとたのしかった。


よろしければ、追記からご覧下さい。




 早苗が、しとどに塗れゆくつゆくさやら、すぎなやらを見つめだしてから、もうしばらくすぎた。
横を見やれば、ほそっこい腕には大きいの小さいの、玉のようなしずくが落ちてはつき、乾けば濡らす。

 じとりと潤った、霧雨の午後のことだ。


 ぷらりぷらりとゆくに任せていた足も疲れて今は腕の中に抱えこみ、今日はお迎えが遅いのねとつむやく先生の脇にひとりぽっち、
ただただお庭の新緑のむこうに見知った顔が現れやしないかと、早苗は待っているのであった。

るるるろろろと騒ぎたつかえるが、いっそう声をはりあげ響かす。


るるるるるー
ろろろろろー
るるるー

お友達はみな白くてすべやかな、大きな手に引かれて帰路についてしまった。
山のふもとの風が吹けばたちどころにとんでいってしまいそうな、小さな保育園にはもう早苗と先生しかいない。


るるるるるー
ろろろろろー

「…おかあさんこないかなあ」


るるるるる、ろろろ、

るるるる、さなえ
るるるる、さなえ



ーまったく、不思議な事だ。雨音のちゃりちゃりとしたベースラインにあわせるかのように歌うかえるの合唱にちらり、ささやくような声が聞こえてくる。

るるるる、さなえ
るるるる、さなえ

(なんだろ、おかあさんかな、)

さなえ、さなえ

今度ははっきり名前が聞こえた。
あちらかしら、とさっきまでがんばって瞳にうつしていた新緑のかたまりに、長靴でぺちゃぺちゃとちかづくと、


おむかえだよ、ろろろ


ふいに早苗は、じっとりとまとわりつく雨がぱっと無くなったような、感覚をおぼえた。
気づけば、あれほどみつめたつゆくさのあちら、どっしりかまえたヒキが一匹、
笑ったように口の端をゆがめていてー…



「ーー、もしもし?東風谷さんのお宅でしょうか、ああお母様ですか、
失礼ですがお声が変わられましたかって、いえ、ええそんなことはありませんよね、すみません…
あ、そんな場合でなくて、たいへんなんです早苗ちゃんが急にー…

は、はあ、え、お迎えいらしたんですか!なら一声かけていただかないと…」




ちゃぽん、ぱしゃん、おおきなヤツデの葉っぱが跳ねている。
もとい、おおきなヤツデの葉っぱを抱えたちいさな早苗と、頭におおきなヒキを乗せたちいさな諏訪子が、
ろろろるるるけろけろけろ、とハミングしながら跳ねている。

まるでいつもは食べられない、秘密の大きなお菓子をもらったような顔の早苗が、はふはふと息を吐きながら跳ぶ。
実際、よもや諏訪子がきてくれるなんて思わなかっただろう早苗にとって、それはまさにそんなもので。

「今日はすごいひだね! 」
「そうね、モリアオ蛙からヒキ蛙まで、みいんな歌ってる」
「ちがうよ、だってケロちゃんがきてくれたの! 」
「おかあさんはいっつもだけどね、かなこさまはたまぁにだけどね、ケロちゃんはたまぁにじゃないから、びっくり! 」
「…ふふ、わたしも嬉しいや、だってかわいい早苗のお迎えなんて」

けろけろけろ、二人の笑ったような歌がお化けみたいなぶなや、しらかんばが仁王立ちした道を震わす。
それにあおられたようにー実のところあの諏訪子が歌っているのだ、あおっているのに違いないー、あたりじゅうのアマ蛙からカジカ蛙まで(いつもは奥の川にすむ彼が出てくるなんて!)
よりいっそう声を張り上げて騒ぎたて、歌う。

るるるろろろけろけろ
ろろろるるるけろけろ

ちいさな早苗とちいさな神様が、ならんで緑の道をゆく。




「まったく雨だからって…まあたまにはいいのかしら…」
がちゃり、受話器を置いたおおきな神様が一人ごちた。


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11.24日生まれの関東人
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